贈与税とは?

税金のお話
▶ 目次

1. 贈与税の性格

2. 贈与税額計算シミュレーション

3. 贈与税の計算の流れ

4. 超過累進課税

5. 贈与された金額と贈与税額の関係



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茹だるような暑さも少しずつ収まってまいりました。
初めての投稿となりますが、所長の命により今回のテーマは「贈与税」です!

1. 贈与税の性格


「贈与税」とはどのような税金かご存じでしょうか。

日常生活の中ではそこそこ身近な税金なので、もしもご存じないという方がいらっしゃいましたら、ぜひこれを機会に頭の片隅にでも留めておいて欲しいです。

贈与税は「個人間の財産の贈与」により発生する税金です。

法人から個人に贈与された場合は「所得税」、個人から個人に贈与された場合に「贈与税」がかかります。
贈与税の課税対象となる場合には、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与合計額を、翌年の2月1日から3月15日までに所轄税務署に申告する必要があります。

よく言われるのですが、贈与税は「相続税の補完」という役割を有しています。「贈与税法」という法律はなく、贈与税は相続税法の中で規定されているのです。

相続税はその名の通り、相続が発生すると納めなければならない税金です。もし贈与税がなければ、相続が発生する前に被相続人(予定)から相続人(予定)に財産を移動することで、簡単に相続税を逃れることができてしまいます。この行為が横行すれば、相続税を払わなければならない人と、払わなくてもいい人が出てくるわけで、そんなのとても不公平だと思いませんか?

このような事態を防ぐために贈与税が存在します。
これが、贈与税が「相続税の補完」と言われるざっくりとした由来です。

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2. 贈与税額計算シミュレーション


というわけで、早速贈与税の内容についてみていきたいと思います。

下記に計算シミュレーションを作成してみました。

水色の入力欄に適当な贈与金額をご入力いただければ、一般贈与税額および特例贈与税額が出てくる仕組みになっています。

1年あたり贈与金額
基礎控除額
課税標準額

 

 

【一般】

一般税率
一般控除額
一般贈与税額

 

【特例】20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合

特例税率
特例控除額
特例贈与税額



金額が出ましたでしょうか?

覚えたてのJavaScriptを駆使して作成しましたので、正常に作動するかどきどきです!
シミュレーションには専門用語が並んでおりますので、計算の流れと共にざっと解説していきます。

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3. 贈与税の計算の流れ


贈与税は「贈与」税ですから、もちろん贈与された金額に税金がかかってきます。しかし、贈与金額にいきなり税率をかけるわけではありません。

これは多くの税金に共通するのですが、税率をかける前に「基礎控除額」を贈与した金額から引くことができます。

贈与税の基礎控除額は1年あたり110万円(受贈者1人あたりの金額)。

上のシミュレーションにご入力いただいても分かる通り、1年あたりの贈与金額が110万円以下の場合、贈与税額はなんと0円です!
この場合には、贈与税の申告書を提出する必要もありません。

これをご存じの方は、相続税対策として毎年110万円以下の金額を贈与なさる場合があるのですが、それについては少し注意が必要です。気になる方は、国税庁のタックスアンサーを貼っておくのでご覧ください。


国税庁公式HP/タックスアンサー/No.4402 贈与税がかかる場合


続きまして、基礎控除額の次に「課税標準額」というものが出てきていますが、これこそが税額計算の基となる金額です。どんな税金でもまず課税標準額を計算し、その課税標準額に税率をかけることで税額を計算します。

そして贈与税には、一般税率と特別税率の2種類が用意されています。特別税率は20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合に限って用いる税率で、一般税率はそれ以外の場合に用いる税率です。

贈与金額から基礎控除をひいた金額(課税標準額)に該当する税率をかけることで、贈与税額が計算できます。

なお、現時点の贈与税の税率表は以下の通りです。


贈与税率表です。


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4. 超過累進課税


贈与税は所得税と同じく「超過累進税率」を採用していますので、贈与した金額が一定の金額(上記税率表の「〇〇超」の部分)を超えた部分ごとに、各々が対応する税率(上記税率表の「税率」の部分)を適用します。

贈与税の一般税率であれば、ざっくりと下図のようなイメージです。

贈与税の負担感が分かる表です。これを見ると、贈与税率表の割合のすべてが贈与金額にかかるわけではないことが分かります。


横軸が税率(%)、縦軸が課税標準額(万円)、色のついている部分の面積が贈与税額、色のついていない部分が控除額となります。これをみると、税率をかけたあとになぜ「控除額」をひく必要があるのかが分かると思います。

「控除額」の存在があるからこそ、贈与金額が大きく最高税率が55%となった場合でも、その贈与に係る課税標準額のすべてに55%がかかることにはなりません。

もしそんなことになれば、贈与税額(色のついている部分の面積)がものすごいことに・・・。


贈与税の負担感が分かる表の補足資料です。もしも贈与税率表の割合のすべてが贈与金額にかかった場合には、このような負担感になります。


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5. 贈与された金額と贈与税額の関係


では実際問題、上記の超過累進課税がどのように贈与金額と贈与税額との関係に影響を与えているかをグラフにまとめてみますと、こんな感じです。

横軸が贈与金額(万円)、縦軸が贈与税額(万円)です。



こうしてみると、贈与金額が高いほど贈与税が高くなるという世間一般のイメージよりは緩やかな曲線を描いているように思います。

グラフ描写の都合上、贈与金額が1500万円までのグラフとなってしまいましたが、最高税率の4500万円超まで描写した場合もほぼ同様の緩やかさでした。
もう少し激しい曲線になるかと予想していたのですが、意外とそんなことはなくて驚きました。


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いかがでしたでしょうか。

本日は、贈与税について書かせていただきました。

この記事では触れておりませんが、そもそも課税されない財産や、特定の状況であれば贈与税が安くなる特例などもあります。

国税庁公式HP/タックスアンサー/贈与税

気になる方はぜひ調べてみてください!


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