インボイス制度の手続き

税金のお話
※インボイス制度の概要に関する記事はこちら!※
消費税の基本とインボイス制度



▶ 目次

1. インボイス制度の概要

2. インボイス制度のスケジュールとその解説

3. 適格請求書発行事業者の登録申請の方法

4. 適格請求書の内容

ライン②
夜風が気持ちのいい、過ごしやすい季節になってきました。
今月をもって、消費税の適格請求書発行事業者の登録申請が可能となりましたね。 ご準備の方は進めておりますでしょうか。

今回のテーマは「インボイス制度の手続き」です!

1. インボイス制度の概要


前回に引き続き消費税のお話になります。
顧問先様その他各方面でお話をした印象ですと、インボイス制度自体があまり周知されていないように思います。

一方でインボイス制度は、課税事業者の方はもちろん、今まで消費税の計算・納付をしたことのない免税事業者の方にも大きく関わる制度です。

「納税義務はないから、消費税については知らなくてもよい」では済まされない問題となりますので、どうか一人でも多くの方の目に留まりますように書かせていただきます。

インボイス制度が導入されると、「仕入税額控除」の要件に「適格請求書の保存」が加わることになります

「仕入税額控除」とは、仮受消費税から仮払消費税を差し引ける計算構造のことです。

つまり、インボイス制度が導入される令和5年10月以降は、適格請求書発行事業者が発行できる「適格請求書」を保存している事業者のみが、消費税納付額の計算上、仮払消費税を控除できるようになります。

文章ではしっくりこない方もいらっしゃると思うので、下図にまとめてみました。

インボイス制度の仕組みです。事業者A(適格請求書発行事業者/青色)から仕入れた場合は納付税額が20円であるのに対して、事業者B(非適格請求書発行事業者/赤色)から仕入れた場合は納付税額が30円になっています。


上図をみれば分かる通り、事業者A(適格請求書発行事業者/青色)から仕入れた場合と事業者B(非適格請求書発行事業者/赤色)から仕入れた場合とで、事業者Cの納付消費税額に差異が出ることになります。

事業者Cの立場からすると仕入先は適格請求書発行事業者である方がお得なので、その仕入が同種の商品・サービスであればあるほど事業者Cは、事業者Bよりも事業者Aから仕入れたいと考えるようになるはずです。

また、適格請求書発行事業者の登録には、消費税の「課税事業者」であることが求められます

適格請求書発行事業者になりたい免税事業者が課税事業者になった場合、それまではしなくてもよかった消費税の計算をしなくてはなりません。

自社で処理するにしろ税理士に依頼するにしろ、消費税の計算は時間やコストのかかる作業となるので、現在免税事業者の方は適格請求書発行事業者になるかどうかを慎重に選ぶ必要があります。

免税事業者の方

① 売上先に理解を得て免税事業者を継続し、
  適格請求書発行事業者にはならない

   or

② 課税事業者になり適格請求書発行事業者となる
・ 課税事業者の方

① 適格請求書発行事業者となる

なお、私見ではありますが、不特定多数の者――消費税の非納税義務者(非事業者の個人)を売上先とするBtoCの免税事業者であれば、①を選択してもデメリットは少ないように思われます。

また、大口の売上先を持つBtoBの事業者であれば②を選ばざるをえない局面に立つこともあるかもしれません。

一方で課税事業者の方は、適格請求書発行事業者にならないメリットがありません。

制度が導入される令和5年10月にはその適用を受けられるように準備をお願いいたします。


以上がインボイス制度の概要です。今回出てきた「課税事業者」や「免税事業者」などといった用語が分からない方は、前回の「消費税の基本とインボイス制度」をぜひご覧ください。


芳木会計事務所HP/消費税の基本とインボイス制度

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2. インボイス制度のスケジュールとその解説


インボイス制度に関するスケジュールは下記の通りです。


インボイス制度のスケジュールです。インボイス制度は令和5年10月1日から開始され、適格請求書発行事業者の登録申請は令和3年10月1日から受け付けています。


まず、インボイス制度は令和5年10月1日から開始されます

インボイス制度において適格請求書発行事業者になるための登録申請は、令和3年10月1日から受け付けています

なお、インボイス制度開始時点で登録が完了している状態にもっていくには、令和5年3月31日までにその申請を行う必要があります


また、インボイス制度には3つの経過措置があります。

経過措置①:

※ 令和5年10月1日~令和8年9月30日 ※

非適格請求書発行事業者からの
仕入であっても、その80%相当額は仕入税額控除の対象となる


経過措置②:

※ 令和8年10月1日~令和11年9月30日 ※

非適格請求書発行事業者からの仕入であっても、その50%相当額は仕入税額控除の対象となる
経過措置③:

※ 令和5年10月1日を含む課税期間中 ※

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受ける場合、その登録を受けた日から課税事業者になる

経過措置①および②は、仕入税額控除の金額に関するものです

令和5年10月1日になった途端に非適格請求書発行事業者からの仕入税額控除を一気に0円にしてしまうと、事業継続に多大な影響を与えてしまうおそれがあります。そのような事態を避けるために、準備期間を設けて段階的に仕入税額控除の金額を減らしていこうという主旨です。

経過措置③は、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受ける一連の手続きを簡略化するものです

というのも、適格請求書発行事業者の登録を受けるには課税事業者である必要があるのですが、免税事業者がその課税事業者になるために本来は「課税事業者選択届出書を一定の期間内に提出する」という手続きが別途必要となります。
それを「適格請求書発行事業者の登録申請」という一回の手続きで済ませてしまおうというのが、この経過措置の内容です。

したがって、適格請求書発行事業者の登録を考えている免税事業者の方は、この経過措置が適用される期間(令和5年10月1日を含む課税期間)中に登録申請を行うのがいいと思います。

もちろん、念のため早めに準備しておきたいという方は、今のうちに登録申請を行うのもいいと思います。

なお、その場合には下記のように手続きを行う必要があります。


<2021.10.26 訂正>

確認したところ、令和5年3月31日までに登録申請を行った場合にはすべて上記経過措置③の適用があるようです。

課税事業者選択届出書は原則、提出した課税期間の翌課税期間から効力を発するものなのに対して、インボイス制度は令和5年10月1日から開始されます。

つまり本来であれば、課税期間が1月1日から12月31日である免税事業者が、令和5年10月1日からインボイス制度の適用を受けるために令和4年中に課税事業者選択届出書を提出すれば、その免税事業者は令和5年1月1日から課税事業者となるので、両者の開始時期に10か月ものズレが発生してしまいます。

このズレを解消するのが、この経過措置③です。

令和5年10月1日を含む課税期間中にインボイス制度の適用を受けたい人が、そのインボイス制度の開始と”同時に”課税事業者となるために、この経過措置は設けられたようです。

したがって適格請求書発行事業者の登録を考えている免税事業者の方は、
令和5年3月31日以前に登録申請書のみを提出することで登録申請を行ってください!


申請が令和5年4月1日以降になってしまう方のみ、下記の手続きを踏んで申請を行ってください。


経過措置を使わずに免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合:

① 課税事業者となりたい課税期間の前年度中に
  「課税事業者選択届出書」を提出する

② 課税事業者となる課税期間の初日の前日から1か月前の日までに
  適格請求書発行事業者の登録申請を行う

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3. 適格請求書発行事業者の登録申請の方法


適格請求書発行事業者の登録申請は、所轄の税務署長に「適格請求書発行事業者登録申請書」を提出することで行います

この登録申請書については、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用することでパソコンやスマートフォンでの電子申請も可能です。

下記の国税庁HPよりマニュアル・申請書様式等が見れますので、具体的な申請方法につきましてはこちらをご覧ください。

国税庁公式HP/税の情報・手続・用紙/税について調べる/税目別情報/消費税/消費税の軽減税率制度・適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)/適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)/申請手続

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4. 適格請求書の内容


適格請求書発行事業者は「適格請求書」を発行することができますが、その記載事項には下記内容がすべて記載されている必要があります

適格請求書の記載事項

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称、及び登録番号

② 取引年月日

③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)

④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)、
  及び適用税率 消費税額等
  (端数処理は一請求書あたり、税率ごとに1回ずつ)

⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
  (一定の事業者においては記載不要)

仮にいずれかの記載内容が漏れていた場合、その請求書は「適格請求書」であると認められず、保存要件を満たしていても仕入税額控除の対象とならないおそれがあるのでご注意ください。

たくさん項目があるように思われますが、現行で取り扱われている「区分記載請求書」の記載事項と比較すると、

追加すべき項目は、①の「登録番号」④の「適用税率」⑤の「消費税額等」の3か所です。

恐らく、事業者の方々は軽減税率の導入にあたり請求書の記載事項を「区分記載請求書」仕様に変更されているはずなので、上記3か所さえ追加すれば「適格請求書」として発行することができます。

具体的な記載方法は、国税庁が公表している下記リーフレット(6-10頁のみ抜粋)をご覧ください。
参考までに、同リーフレット記載の請求書の例示も一部転載しておきます。業種により異なるところはありますが、こちらが「適格請求書」のベースになります。

適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-(6-10頁/国税庁/令和3年7月/PDF)


適格請求書の記載例です。適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-(国税庁/令和3年7月)より抜粋。

【同資料より抜粋】

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いかがでしたでしょうか。
本日は、インボイス制度の手続きに焦点をあてて書かせていただきました。


記事では触れていない細かい部分など、インボイス制度の詳細はこちらの特設サイトで確認できます。

国税庁公式HP/特集インボイス制度

気になる方はぜひ調べてみてください!


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